タイムレスな教育を見つける旅へ

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実績

  • 学校・官公庁・企業事例
  • 学校法人鶏鳴学園 青翔開智中学校・高等学校 織田澤博樹校長

タイムレスな教育を見つける旅へ

INTRODUCTION記事紹介

民間出身の校長先生として、教育業界に新しい風を送り込んできた織田澤先生。織田澤先生が校長を務める2014年創立の青翔開智中学・高等学校(鳥取県)は、学校の空気感も、校舎も、先生達も、そして生徒達も、とてもユニークで注目を集めています。そんな新しい学校に込められた想いと、“友達“であるタクトピアと作る教育環境についてお伺いしました!

PROGRAMS
プログラム

2016
オンライン英語学習プログラム@青翔開智中学・高等学校

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英語4技能を鍛えるオンラインの英語学習プログラムを導入。ネイティブスピーカーとグローカルトピックに基づいたレッスンを行いました。TOEFLやIELTSに対応した内容と語彙選定をしており、この英語プログラムで鍛えた英語力をもとにイングリッシュキャンプに挑戦をする学びの流れを実現。総合的にグローバル環境を学校内に創り上げることを狙いました。

2016-2019
イングリッシュキャンプ@青翔開智中学・高等学校

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毎年異なるテーマでイングリッシュキャンプを実施してきました。ある年はSTEAMをテーマに「デザインと耐久性を兼ね備えた橋を作ること」というMissionに取り組むことに挑戦。また違う年は、外国人メンター達が学んでいる学問について触れながら自分達が学びたい学問を新たに考える回など、創造性を刺激する学びの場を提供しました。

2018-2019
同志社中学校主催合同イングリッシュキャンプ@京都

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同志社中学校をホスト校に実施する、合同でのイングリッシュキャンプを実施しました。「本当に伝えたいことを伝えたい人に伝える」をテーマに、チームごとに劇を制作するMissionに挑戦。また劇の制作にむけて、まずはメンター達の出身国で有名な童話を劇にすることに挑戦し、多様な国の文化に触れることが出来るキャンプを実施しました。

2019
アート研修@オーストラリア

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ブリスベンで「自己探究・自己理解・自己表現」をテーマに自分のパッションやありたい姿を見つめ、1分自己紹介動画を制作・発表に挑戦しました。動画制作ワークショップでは、静止画や動画を対話を通して鑑賞し、自身の中に生来ある豊かな想像力を呼び起こした後、動画の撮影手法を学び、より伝えたいかたちで伝わるような表現力を身につけました。そのほかにも、アボリジニの絵を描いたり、歌やダンスを習ったりと、体を使った表現方法を学びました。

青翔開智中学校・高等学校の皆様はタクトピアとどのように出会ったのでしょうか?

もう遡ると2015年4月に、本校でデザイン思考のワークショップを行ったことがきっかけですね。そのワークショップにタクトピアさんがいたわけではなく、当時東京海上日動で研究員をされていた牧野司さんが見学に来てくれていました。牧野さんがワークショップの様子や感想をFacebookに投稿されたところ「なにこれー、面白い学校がある!私と気が合いそう。」となったのがタクトピア共同創業者の白川寧々さん(以下寧々さん)でした。そんな経緯で、牧野さんに引き合わせて頂く形で、翌月5月にはうちの理事長と寧々さんが会うことになったんです。実はこの時、本校はまだ創立2年目でした。その後、6月には寧々さんが講演で来校してくれ、それを皮切りに、その年のうちにタクトピア代表の長井さんとタクトピア英語教育担当の嶋津さんも訪問してくれたんですよね。そして翌年の2016年の夏には、イングリッシュキャンプを実施しました。実はそれと並行して、2015年のタクトピアの夏季ボストン研修で、当時大阪府立箕面高校の校長だった日野田直彦先生がうちの存在を聞きつけたらしく、学校を訪問してくれたんですよ。今思い出すととっても不思議ですよね。ちょろっとタクトピアからうちの話を聞いたぐらいで、日野田先生来るんだ!と思いました(笑)。あの辺りから、すごく人と人との繋がりが広がっていきましたね。当時ミネルバ大学の日本事務局長だった山本秀樹さんにもその後ご訪問いただきました。


青翔開智中学校・高等学校は今多くの方々から注目されていますが、その魅力は何なんでしょうか?

今でこそ学校関係者の方々が見学に来ますが、最初は企業関係者の方々が来てくださっていましたね。産業界からの、「企業や社会に求められる人材が輩出されるのでは?」という期待があったように感じます。産業界でちょうどデザイン思考の導入が始まったタイミングで、我々も学校教育にデザイン思考を取り入れる取り組みが早かったこともあり、産業界からの期待があったと思います。

学校を創設した当初は、私は異なる業界出身だったので教育業界のことは本当によく分かってなくて。当時は、「教育基本法っていう法律があるんだ。」という感じでした。そういうこともあり、「産業界から何を教育に求められるのか。」という視点から入ったのがスタートでした。


(株)日立製作所(以下日立)やキャラクタービジネスの業界で働かれていた織田澤先生のご経験は今どのように活かされていますか?

日立で働いた経験がなければ、ICTの取り組みはこんなに早くやっていなかったですよね。(生徒1人1台のiPad、全館無線LAN、Googleのクラウド環境をインフラにした学校運営等)キャラクターミュージアムの企画をしていたときは、仕事していてとにかく楽しかった思い出が強くて。そうした経験があったので、働く楽しさを生徒に伝えたいなーっていうのが最初ですよね。僕が授業をしたり、デザイン思考のワークショップをしたのも、楽しさを伝えたかったからです。学校の校舎をつくる時、僕が一番最初に思い浮かべたのは、ミュージアムなんです。小学校の修学旅行だと、博物館や美術館、こども科学館とかに訪れますよね。その時って、建物を見た時に「あの中に何がはいっているんだろう!?」と必ずワクワクするじゃないですか。そんな風に、毎日学校に通えたらいいなと。「あの中には、何があるのかな?」と思ってほしいんです。自分たちの学校の生徒だけでなく、校舎の前を通る小学生や幼稚園生にもそう思ってほしいですね。


校舎も非常にユニークですが、組織も独自の哲学で作り上げられていると感じていますがいかがでしょうか?

僕は『ビジョナリーカンパニー2』という本がすごく好きなんです。飛躍をとげた数々の企業を分析したこの本に、人事に関する話が「目的地に向かうバス」に例えられ掲載されています。バスに乗るなら目的地を決めて人を集めるのではなく、最初に人を集めて、集めてから目的地を決めるというのです。集まった人と行き先を決めるので、うちの採用では誰に乗ってもらうかを大事にするために、「こういう先生が欲しい」という概念を定義しています。その概念に基づいて、そこから採用を行います。実際に採用活動を行っている際にも、この考えについて話をします。毎年、東京や大阪で行われる私立学校の合同採用説明会に我々も参加させてもらっています。会場では、他の学校さんのプレゼンも気になるので聞きに行くんですよね。そうするとだいたい2つの傾向があることがわかって。1つは難関大学に合格させられる指導力のある先生を求める場合。もう1つは、部活の指導をして、県大会や全国に行かせられる指導力のある先生を求める場合。つまりは、東大を目指すかオリンピックを目指すかのどちらかになるわけです。これはこれでいいと思うんですが、あまりにもその2つを目指す学校が多いなと感じました。僕たちは、まずは皆で集まって、その上でどこを目指すのか決めていこうよと言っているので、「東大ではなく灯台を目指そう」と言っています。その灯台のピカピカ光るものは、探究であったり、教育基本法の第1条だったりするのかもしれません。東大を目指す生徒も、灯台を目指す通過点に東大があるはずです。今の若い先生、アントレプレナーの気質があるZ世代やY世代後半の人たちには、響くのではないかな?と思っています。採用の場では、校長である僕が直接話すので、「この学校は、本当に、皆で目指す先を一緒に決めようとする学校なんだ。」と伝わっていると思っています。


実際現場では、「全員校長」というスローガンのもと先生たちと組織運営をしています。自分でその場その場で決定を下し、自分でなんとかする。各セクションで考えて、それが正しいと思ったらそうしていいよと伝えています。先生方は、僕なんかより優秀で若いし、その人達が一生懸命考えて決めたならそれでいいと思っています。ちなみに、生徒には「全員生徒会長」と言っています。生徒会長は役割としては存在しますが、学校の外に出れば、1人1人が青翔開智の代表になります。だからこそ、自分は青翔開智の代表としてどうあるべきか、自分で考えて行動しようと。失敗するのはしょうがないから、もし失敗したら次にどうするかを僕と一緒に考えようと伝えています。


今後の青翔開智中学校・高等学校で届けたい教育を実現するにあたり、タクトピアへはどんな期待がありますか?

そうですね。タクトピアとの関係は、仲の良い友達ができたという感覚です。開校して2年目のとき、青翔開智は1人ぼっちだったんですよ。学校として1人で頑張ってやっていた。だから、タクトピアが遊びに来てくれて、初めて友達ができた感覚でした。逆にタクトピアに初めて会った時に思ったのは、寧々さんがきたり、茶髪のお兄ちゃん(嶋津さん)がきたりして「あー僕たちも友達いないけど、この人たちも友達がいないんだろうなー。1人ぼっち同士なら友達になれるかも。」と思ったんですよね(笑)。タクトピアとの出会いはすごく嬉しかった。イメージは、たまたま転校生2人が違う場所からきて、転校生と転校生が仲良くなった。そんな感じです(笑)。実は、最初タクトピアのこと、よくわからなかったですもんね。今だからこそ、タクトピアはコンテンツや人材、ビジョンもありますが、あの当時はタクトピアも創業したばかりで何もなかったですから。ビラ1枚だけで、会社のロゴすらもなくて、「この人達ちょくちょく学校来るけど何なんだろう?」って思ってました(笑)。 その後、一緒にイングリッシュキャンプをやって、英語プログラムをやり、さらに海外研修をやってと、どんどん一緒にやることが増えていったわけです。今となっては僕たちとタクトピアは友達なんですが、田舎に住む僕たちにとって、タクトピアは都会の友達です。田舎から出てきて渋谷とか池袋に1人で買い物行くのって怖いじゃないですか。だから、最初はタクトピアと一緒に行くんです。慣れてきたら1人で行けるようになりますよね。というように、恐怖心を取り除いてくれる存在です。そうしてくれるので、次は僕たちが中目黒や代官山に1人で買い物にいったり、ネットにもまだ掲載されていない美味しいカフェを見つけちゃったよ、みたいな成長を遂げていくんですよね。実際に海外研修では、海外の文化や人や大学などに精通したタクトピアに連れて行ってもらっているわけです。タクトピアは生徒とも、先生ではなく友達みたいに接してくれる。生徒からしたら、自分のお兄ちゃんお姉ちゃんの友達みたいな距離感だと思います。家族ではないけど、赤の他人でもない。年上だけど先生とは違った価値観をもっている特別な存在ですから、どんどん自分の世界を広げてくれるのでしょう。僕から見ると、タクトピアと活動している生徒達はそんな様子です。学校、先生方にとっても、生徒達にとっても、タクトピアの存在は同じです。タクトピアと一緒に活動することで、視野がひろがって、その後1人でできるようになる。新しい世界を知ることができるんです。


今後の学校運営ではどのような展望を持たれていますか?

最近「タイムレス」って言葉が好きで、学校の教育方針とか聞かれるとよくお話ししています。


ユナイテッドアローズの栗野宏文さんっていう著名なクリエイティブディレクターが、マーガレット・ハウエルというブランドについて、タイムレス=時代に左右されないと話されていたんです。20-30年前のシャツが今も着られるし、20-30年後にも着られるだろうと。それを聞いた時に、教育もタイムレスという概念にはまるなと思いました。青翔開智も、開校し色々やってきた中で、「これは、本当にタイムレスな教育なのか?」ということを考える、まとめ作業のフェーズに入る必要があると感じています。例えば、デザイン思考を取り入れていますが、20年後にもデザイン思考は必要と言えるか?と。名前は変わっても、本質は変わらないかを考える必要があります。SDGsとかは言葉がなくなると思うんですよね。2030年までの目標なのに、何十年後もSDGsと言っていたらまずいじゃないですか。タイムレスという言葉をもとに、届けている教育をまとめていって、普遍性をあげていかないといけないなと。そういう仕事をタクトピアとやっていきたいなと思っています。流行りがあることはいいんですが、流行っている中で、今後もずっと必要なことは何かを一緒にまとめる作業をしていきたいです。


また、空気感という言葉も好きです。「学校づくりはどうしているんですか?」と聞かれると、学校文化は空気感だと言っています。空気って纏うものじゃないですか。だから、言い換えると洋服です。我々は教育という名の洋服を仕立て、生徒に選んで着てもらう。そして、どうせ作るなら定番と言われるアイテムを作りたい。リーバイスのジーパン「501」のような。タクトピアはコンバースの「オールスター」かな?それってもう定番になっているから、ずっと着続けられると思うんです。生徒達が大人になっても着続けられるものを一つでも多く手に入れて欲しいなと思っています。


最近、女性にプリーツのスカートが流行ってますよね。そこに定番のコンバースのオールスターをコーディネートするとしっかり合うんですよ。そんな感じで、流行を追って新しいことやりたいと思ったら、タクトピアがオールスターのようにサポートしてくれる。僕たちが遊びたくなったら、タクトピアと一緒にいたら大丈夫だな、そういう安心感をくれます。たまには遊ばないとね、面白がってもらわないといけないから。


織田澤先生、ありがとうございました!今後も友達として遊びながら、タイムレスな遊び心のある教育を、ご一緒に届けていきましょう!