周りに流されず、自分の意見を言える人になるために

CASE
実績

  • 参加者事例
  • 山手学院中学・高等学校 チームChalm 川嶋優嘉さん、藤澤結心さん

周りに流されず、自分の意見を言える人になるために

INTRODUCTION記事紹介

川嶋さん、藤澤さんは、学校で実施されたアントレプレナーシップ連続講座に2年連続で参加してくれました。中学3年時に短期間で取り組む基礎編に参加し、高校1年時には約1年に渡り本格的に身近な課題解決に挑戦するGrassroots Innovator Program(以下Grassroots)に1期生として挑戦してくれました。今回はチームを代表して川嶋さん、藤澤さんにチームでの取り組みについてお話を聞いてみました。

PROGRAMS
プログラム

2019年
アントレプレナーシップ基礎講座@山手学院

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自分たちはどんなことが好きで嫌いなのか、そんな自分の思いを捉え、共感する仲間とチームを組みます。チームで世の中の数ある問題の中で、特に自分達が解決したいと強く思う課題を解決するアイデア創造に挑戦する基礎講座です。約3ヶ月にわたり取り組み、起業家へのプレゼンテーションを行います。

2020年
アントレプレナーシップ連続講座Grassroots Innovator Program@山手学院

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日常生活の中にある身近な課題を捉え、チームでその解決に動く半年から1年にかけて行われるプログラムです。机上のアイデアに終わらせず、「教わる」のではなく「実際にやってみる」ことに重きを起き、アイデアを具現化させ課題が少しでも解決されるように友達・家族・先生・地域の人々・団体などに働きかける「社会実装」まで取り組みます。

チームを代表して、川嶋さん藤澤さんに今日は話を聞いてみたいと思います。  まずは、どんな課題に取り組み、どんなチームを組んだか教えてもらえますか?

はい、私達はチーム名も、提供したプロジェクト名もChalmと言います。私達は勉強についてプロジェクトを立ち上げ、取り組みました。


中高生にとって勉強は大切なはずで、難関大学に合格するために必要な自主学習時間と生涯賃金から導くと、実は勉強の時給は3万円です。でもただ机に座っているだけで3万円が降ってくるわけではありません。あっという間に過ぎてしまう1時間を有効に活用してその価値を持たせるためには、勉強の計画が必要です。


そうした思いから、個人に合わせた学習計画書を作りました。具体的には私たちが考える理想の勉強計画表を定期テストの三週間前から配布し、提出してもらって計画表に対してアドバイスをしていました。


チームは、Grassrootsの前半では中学生と混合でチームを組み、後半でチームメンバーを変えて高校生だけのチームを組み取り組みました。後半のチームメンバーは、同じクラスの川嶋優嘉、藤澤結心、倉田結南、田中玲奈の四人です。チームのグランドルールは「仲良く楽しく頑張ろう」でした。


とても興味深いプロジェクトですね。具体的にプロジェクトの内容を聞く前に、なぜ2年連続でアントレプレナーシップを鍛える連続講座に参加してくれたのか、聞かせてもらえませんか?

連続講座に参加する前から、学校内で発表する機会は多くあったのですが、遠慮してしまうことがありました。中学3年生の時に、連続講座が開催されることを知り、このプログラムに参加する人同士なら、自分の意見をしっかり伝えられると考えたからです。また、人前で発表することに慣れたかったことも理由です。


1年目が終わり、高校生になった時、外部の大会に出たいと思うようになりました。実際に、高校生でGrassrootsに参加した後、マイプロジェクトの大会に応募し、書類審査が通り、関東大会まで進出しました。関東大会では、多くの他校生に出会い、これまで周りにいた自分の学校の生徒より、他校の人の方が熱量が高くて、とても刺激を受けたことを覚えています。また、Grassroots参加にむけた目標では、話す内容を事前に考えてからでないとうまく自分の考えを伝えられなかったので、相手と討論できるくらい主張できるようになりたいとい思っていました。


色々な期待・目標をもって参加してくれたんですね。一方で参加するにあたり不安はなかったんでしょうか?

中学生の時に、やはりこのプログラムに参加する人たちは、意見をはっきりという子が多いのではと思っていたので、自分の意見を言えるか不安でした。また、皆が積極的過ぎて、置いていきぼりになったらどうしようとも思っていました。


高校生の時はまた別の不安があり、中学3年・高校1年で一緒に受ける講座なので、同じ部活の後輩が参加しており、その後輩達とまとまってしまい、いつもと同じように発言しなくなることも心配でした。


そうした不安を乗り越えながら、参加してくれたんですね。1年目と2年目で、それぞれ変わったな、成長したなと思う点はありますか。

2年目になって、2人ともお互いにしっかり意見を言えるようになりました。Grassrootsの前半は、私達高校生と、他中学生メンバー数名と一緒にチームを組んだのですが、よく中学生の彼らと意見がぶつかっていました。自分たちの1年目の経験をもとに「このほうが良かったよ?」と意見を行っても、「いや、こっちの方がいいと思います」と中学生に言われたりして、つらかったです。「もうちょっと意見聞いてくれてもいいのに。」と感じていました。中学生のメンバーと意見が違ったのと、学年が違うことで、昼休みや教室移動の合間に話し合いを進めることも難しく、結果高校生と中学生で分裂してしまいました。


チームを組んだからといって、上手くいくとは限りませんよね。意見の相違があった時、どのように解決しようとしましたか?

最初は「これはこうなんじゃないかな〜?」と柔らかく言ったりして、意見の相違があることを相手に気づかせないように伝えてみたりしていました(笑)。でも結局、相手にはっきりと意見を言わないと、自分の考えや想いが伝わないことを学びました。今ならディベートや討論などでも、しっかりと自分の意見が言えると思います。


確かに、言葉にしてしっかり相手に伝えないと、そもそも伝わらないですよね。実際には、チームで話し合って、チームを変えることにしたんですよね?

はい。このままのチームでは「自分の意見や自分らしさが出せていないのではないか」と考え、チームを変えることにしました。チームを変えた当初、私達2人になってしまいました。ただ、プロジェクトを進めるには、2人だけのチームでは、役割分担が大変になると思いました。そんな時、丁度同じクラスでGrassrootsに参加していた2人組が、一緒にやるメンバーを探していたので、合流して4人で組むことになりました。講座以外の移動時間や昼休みなどにも話し合いをしてプロジェクトを進めたいと考えていたので、学年が同じ人と組めたことでそうした時間に話し合いができるようになりました。新しく組んだ2人は、私達が意見を言ったら、きちんと意見を聞いてくれて、組めてよかったです。ただ、やっておいてと言っていたものが実際には期日までに終わっていないこともあったりして、そうした時は担当ではないものの代わりにやったりして大変でした。チームメンバー内で、作業のペースに差が出たりするので、ある程度同じ熱量の人じゃないとチームは続けられないと思いました。


チーム運営では色々と葛藤を抱えながらプロジェクトを進めたのですね。色々葛藤を抱えながらチーム運営に取り組んだ2人にズバリ聞いてみたいのですが、いいチームを作る秘訣は何だと思いますか?

Grassrootsの経験から、ある程度同じ熱量があって、元から同じような考えを持っている人と組むと、プロジェクトもうまく進むと感じました。一方で、そうしたチームだと、同じ方向で同じ意見を持っているので、意見が偏ってしまいます。そういう時は、担任の先生とか、Grassrootsに関わる先生に発表を聞いてもらって、自分たちとは違う意見やアドバイスを取り入れるようにしていました。また、チームを変えようと決めた時に、客観的に自分達を見ることで新しい道が開けたんだと思います。自分が思ったこと、言いたいこと、感じたことを相手にどう思われるか考えて「やっぱり言わないでおこう。」と、自分の中で押し殺すよりも、ちゃんとメンバーと共有することでより良い信頼関係が生まれると感じました。


チーム活動から多くの学びを得たんですね。では、プロジェクトの内容自体についても、詳しく聞いてみたいと思います。勉強をテーマにしたのは、どういう理由からですか?

高校生になって、Grassrootsのプロジェクトが始まったことで、部活と勉強との両立に不安がありました。チームを組んだ時に、あらかじめ勉強というテーマを決めていたわけではなく、部活と勉強、加えてGrassrootsがはじまるということで、「どう両立するか?」という共通する不安がチームメンバー内にあったからこそ、チームの議論で「勉強の計画」をテーマにすることになりました。また、Grassrootsで勉強をテーマにすることでより良い学習方法を模索することになり、自分たちの成績も上げることに繋げたかったからです。


Grassrootsにも取り組め、勉強もできて成績が上がる、一石二鳥ですね!実際にはどのようにアイデアを考えていきましたか?

Grassrootsの前半では勉強計画アプリを作ろうという話になりました。しかし、実際にアプリの実装などの作成をしようと思うと、技術的な面や費用の面で難しいと感じ、後半ではワークシートといったアナログなツールを作成することに変更しました。アイデアが変わっていく中で、「これで本当に成績があがるのか?」ということを何度も客観的に見直しました。本当に成績が上がるのかという不安から、他のアイデアに変えようと思いましたが、前半でやったことを無駄にしないようにと思い、アイデアを継続し、最終的なアイデアであるChalmを作りました。


粘り強く考え続けたのですね。実際大変なことも多々あったと思いますが、特に大変だと感じた瞬間はありますか?

やはりチーム内での話し合いで、Grassroots前半で意見がすれ違った時に、押しつけだけじゃなくてどうやったらお互いに納得したものを作り上げるかということに悩みました。

後半になると、いよいよ自分たちのアイデアを実際に他の人に試してもらうとなった時に、成功するか保証がないものを使ってもらう事に対して不安がありました。なので、声をかけやすい仲の良い子たちにお願いしました。


プロジェクトを続ける中で、大変だと思うことも変わっていったんですね。嬉しかったことはありましたか?

チームでの話し合いが大変だったので、皆の意見がまとまった時はとても嬉しかったです。また、実際にアイデアを試してみて、参加してくれた人の成績が予想以上に上がっていてびっくりしました!協力してくれた8人全員の点数が1教科平均して10点上がり、またそのうちの1人が1教科で61点も点数が上がりました。そうした結果もあり、8人全員が今後も使いたいと答えてくれました。特に、もともと勉強が得意な特進コースではない進学コースの友達に限定して協力してもらっていましたが、8人中1人が、進学コースのテストのランキングで1位になったのは本当に驚いたし嬉しかったです!


勉強の計画が上手く立てられない人の役に立ちたいと思っていた皆からすると、本当に嬉しい出来事でしたね!実際に1位を獲得できた友達は何が良かったと言っていましたか?

Chalmの勉強計画書を、私達チームメンバーに送ることで、「計画を他人に見られたからにはやらねばならない!」という気持ちになり、計画どおりに進めようと頑張る気持ちになれたと言っていました。


確かに宣言してしまうとやらなきゃという気持ちになりますよね。他にこだわって作った点はどういうところですか?

計画を詰め込みすぎると勉強したくなくなるので、あまり内容を詰め込みすぎないよう意識してアドバイスしていました。日中の休み時間等に取り組むのは1教科、放課後になったら3教科取り組むなどの配分にして、色んな人が取り組みやりやすいようにしました。また、振り返り表を参加者から送ってもらった時に、あまり否定的なこと言わないで、気持ちが上げまくるようなコメントを意識していました。「この調子ですよ!!いいですね!!」みたいな感じです。


今考えると、こういう風に工夫すればよかったなと思うことはありますか?

プロジェクトに対してではないのですが、Grassrootsに参加する前のことを思い出すと、話し合いの時とかに、自分の意見を言わずにそのままにして、流されている方が楽だと思うことがありました。今考えると、そういう時にしっかり発言することは大事だと思いました。


流されないで意見を言うことで、新しい気付きやアイデアが生まる経験ができたからそう思えるのかもしれませんね。Grassrootsの活動を通じて、他にどのような変化が自分たちにあったと思いますか?

これまでは、学校での発表があまり得意ではありませんでした。ですが、何度も発表した経験を通して過度に緊張せず落ち着いて発表できるようになりました。Grassrootsでは、最終発表以外にも講座内でチーム同士で沢山発表する機会があったので、大きな声で喋る、相手の目を見るなどの発表をする上で重要な力が身に着いたと感じています。


発表の場での変化も大きかったようですが、2人にとって発表は重要なものですか?

はい。他者から評価される場が発表だからです。Grassrootsでも最終発表で評価されるし、学校の授業でも発表で成績がつきます。学校だけでなく、社会に出てからも発表する機会がたくさんあるので大事だと思います。Grassrootsで何度も発表に取り組む中で、スライド作成の重要性にも気づきました。Grassroots参加前は、「全部の情報詰め込んじゃえ」と一旦全部の情報をスライドにいれていましたが、チーム同士の発表などを通じて、「この情報はスライドにはいらないかな?こういうほうがいいかな?」と自分たちなりに良いと思うスライドを作れるようになりました。


色々な学びがあったようですが、Grassrootsのお題であった「自分の身の周りにインパクトを起こすプロジェクトを発足せよ!」というミッションに対して参加者としてどう思いますか?

Grassrootsの1期生として取り組むので、今後の人たちの目標になれるような、周りをあっと言わせるものに取り組みたいと思っていました。全体のグラウンドルールの中で、「1期生としての基準をつくる」というものがあったので、それを目指して取り組んできたことで今回ここまでやってこれたのだと思います。なので、取り組みの”始めにそうしたグラウンドルールやミッションを掲げて、それに向かって活動することがどれだけ大切かわかった気がします。


2人とって学校やタクトピアはどのような存在ですか。

プロジェクトに関してのアドバイスはもちろんですが、自分に今何ができるかを考え、行動に移すことの難しさとそれを達成できたときの喜びを教えていただけたと感じています。今後もし何かにつまずき、思い通りにいかないことに落胆することがあっても、Grassrootsで仲間と共にやり遂げられたことを自信に頑張りたいと思います。


生徒の目線から見て、Grassrootのような課題解決型プログラムを取り入れることで学校の雰囲気は変わったと思いますか?

はい。タクトピアのアメリカのボストン研修に参加した人や、Grassrootsの参加した人など、各プログラムに参加した人が、学校の授業でも意見を言うようになりました。学校全体でみると、まだ参加人数が少ないので、今後プログラムの参加者が増えていって、学校全体的をそういう雰囲気にできたら、意見を言い合えるようになるのでいいと思います。


ありがとうございます。それでは最後に、それぞれの今後の展望や挑戦を教えてください。

川嶋さん:マイプロジェクトに出場し、外部の大会に出ることが重要だと思いました。他校の人と関わって新たな視点を得るためです。また、学年とか学校を超えた交流ができたらいいと思っています。マイプロジェクトの大会では、他の学生と交流するセッションがあったので、今度参加したいと思っています。


藤澤さん:マイプロジェクトで、参加者からたくさんのアドバイスを頂きました。アドバイスを受けて、今回私達は同じ学校の自分たちの学年でのみでChalmを提供していましたが、他校でも自分達と同じ意見や考えを持った学年の代表者と共同すれば、今のChalmを更に発展させられると思います。Chalmをより発展させていけるように、挑戦したいです。


チームChalmの皆さん、ありがとうございました!不安や葛藤を抱えながらも一歩挑戦したことで、新しい自分・世界に出会えたと思います。そのワクワクや喜びをもとに、さらに新しい自分、広い世界に出会いに挑戦を続けてほしいと思います!これからも頑張っていきましょう!