この仲間で将来起業に挑戦したい

CASE
実績

  • 参加者事例
  • 山手学院中学・高等学校 チームGlanz 迫翔大くん、新浜裕汰くん、荒井咲頼くん

この仲間で将来起業に挑戦したい

INTRODUCTION記事紹介

迫くん、新浜くん、荒井くんは、学校で実施された約1年に渡り本格的に身近な課題解決に挑戦するGrassroots Innovator Program(以下Grassroots)に中学3年時に参加してくれました。Grassrootsが始まる前から仲良しであった3人ですが、Grassrootsを通じてどのような成長があったのでしょうか。彼らのプロジェクトストーリーを聞いてみました!

PROGRAMS
プログラム

2020年
アントレプレナーシップ連続講座Grassroots Innovator Program@山手学院

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日常生活の中にある身近な課題を捉え、チームでその解決に動く半年から1年にかけて行われるプログラムです。机上のアイデアに終わらせず、「教わる」のではなく「実際にやってみる」ことに重きを起き、アイデアを具現化させ課題が少しでも解決されるように友達・家族・先生・地域の人々・団体などに働きかける「社会実装」まで取り組みます。

チームGlanzの皆さん、今日はGrassrootsで取り組んでくれたプロジェクトのストーリーについて聞いてみたいと思います。まずは、どんなプロジェクトを立ち上げたかお伺いしてもいいですか?

迫くん(以下迫):新型コロナウイルスの接触感染を防止するための商品を考えました。コロナ禍で今まで触れていた物に、「接触感染が怖い」「不特定多数の人が触れた物が嫌だ」という思いから人々は触りにくくなってしまいました。コロナウイルスの感染経路の割合は、接触感染が52% 、飛沫感染が32%、吸入経路16%となっており、接触感染がもっとも割合が高いです。実際に、接触感染の事例として、電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すりなどが挙げられます。ただ、「家にウイルスを持ち帰りたくない」「手がむれる」などの理由から「ハンカチや手袋などの私物を接触防止に使いたくない」と思う人が多いです。そこで、「安心して触れるようにしたい!」という思いから、「守ってメモ」というものを開発しました。


「守ってメモ」面白い名前ですね。具体的にはどのような商品なのでしょうか?

荒井くん(荒):50枚入りのメモ帳のようなものです。ウイルスが付着していそうな物を触らなければいけない時に一枚切り離し、切込み線を破って指を入れもらうことで、手と物の間に挟んで使うことができます。大きさはS:子供用・女性用、M:男性用の2種類があり、小さいので持ち運びが便利です。もちろん、メモ帳としても使えます。手頃な価格で買えるようにと考えました。また、素材にもこだわっており、「ストーンペーパー」を使っています。ストーンペーパーは、石灰石から出来ているので、森林伐採を行わず環境に優しいリサイクルできる素材です。万が一ポイ捨てされても紫外線で分解されます。耐水性や伸縮性もあるので、濡れた手でも安心です。


こだわりが詰まっていますね!そもそもなぜ感染予防をプロジェクトのテーマすることにしたのでしょうか?

迫:Grassrootsの初回の宿題で、「プロジェクトのテーマの大本になる自分の好きなこと・嫌いなことを次回持ってこよう」というものがあったのですが、その宿題での回答例としてコロナ関連のことが嫌いなこととして記載されていました。実際に宿題をやる時に、「多分他の生徒は、例で出されているものは書くのを避けてくるのかな」と思い、僕も避けようと思っていたんです。ですが、実際に今の自分が好きなこと・嫌いなことを真剣に考えると、「コロナ禍の感染拡大だ。」と思って、感染拡大に関するものにしようと決めて、宿題に記載して持っていきました。


実際にその後テーマを感染予防にして、アイデアを考えて商品化まで行ったわけですが、皆さんのチームは企業に問い合わせをする挑戦をしましたね。なぜ問い合わせをしようと思ったのでしょうか?

荒:最初は必要な素材を自分たちで調べていたんですけど「あ、これだ!」っていうのが無くて。値段も楽天とかアマゾンで全然ばらつきがあって、どれが正しいのかわからなかったからです。企業の人たちはその辺りに詳しいと思うので、それだったらプロの人に聞いた方がいいなと考えたことが始まりだと思います。


迫:そうですね。僕たちは紙を題材としてきたんですけど、紙って本当に値段が難しくて。例えばコピー用紙だとすごく安い値段で買えたりして。三人でこういうサイトもあるよって、ずっとわちゃわちゃ確認していて、毎回何時間も無駄にしていました(笑)。だったら、もう企業に連絡しちゃおうっていう話だったと思います。


これまで企業に問い合わせたことは一度もなかったようですが、実際に連絡してみてどうだったでしょうか?

新浜くん(以下新):企業に問い合わせたら、「引き戻せなくなっちゃう」と感じてすごく怖かったです。最初は10社程度に送るという話になっていたんですが、さすがに全部さばききれないと思って4社に絞りました。最終的には、富士美術さんだけが回答してくれました。とても親切で、文面とか内容を間違えてもフォローして頂いて、とてもありがたかったです。何回もやり取りをして、電話もしました。


企業に問い合わせて、大変だったこと、気づいたことなど何を感じましたか?

新:言葉遣いですね。僕たちが普通に今喋っている言葉と、社会人になって喋るときの言葉は違うので、そうした言葉遣いに慣れてなかったので大変でした。ちゃんと連絡を返してもらったので、こちらも失礼がないように話していかなきゃなっていう責任をだんだんと感じはじめました。


迫:新浜くんは文面を作るのをすごく頑張っていたよね。めっちゃくちゃ細かくチェックしていた。僕と荒井くんがそんな失礼じゃないから大丈夫だよって言っているのに、「絶対親やタクトピアの人に文面が丁寧か確認する。絶対改めて確認する。」って言っていたもんね(笑)。僕自身は、企業から返事がなかった時に「中学生だから返してくれなかったのかな」と思ったことは、発見ではないけど、気づかされた感じがありました。数社送っても優しく返してくれるところは1社ぐらいなんだと分かると、世の中厳しいなって思いました。


荒:一方で、企業との連絡はこれまでやったこともなかったのですが、頑張ればなんとかなるんだなって思いました。


Grassrootsで積極的に挑戦してくれたんですね。では、皆さんはそもそもなぜGrassrootsに参加しようと思ったのか、聞かせてもらえませんか?

迫:学校から案内が来た時、ちょうど中学2年生の終わり頃でしたが、案内を見て自分が将来大人になった時に、武器になると思ったからです。例えばアイデアをどんどん出していったりですとか、相手が出した案に対して「違うよ。」って言うのではなく自分がもっといい案を出してみたりとか、そういうお互いを高めあいながら取り組む力は、今後武器になると思います。これまで本気でそういう活動をやったことがなかったので参加しました。


Grassrootsでの活動は、授業や部活など日頃の学校生活の活動とは、あまり似てなかったのでしょうか?

迫:そうですね。学校での日頃の活動は、何かを考えてもアイデア出しで終わることが多かったです。Grassrootsは、アイデアを考えるところまでではなく、そのアイデアを実践までする点が違いました。あと、他の活動では、チーム分けや何をやるかなど、予め決まっていることが多く、あまり主体的に動く機会がありませんでした。Grassrootsではチーム分けや何に取り組むかのアイデア出しまで、全部自分から動かないといけないので、やっぱり活動的には違うと思います。


なるほど。他の2人はどうでしょうか?

荒:迫君に似ているんですけど、今後の将来のためになると思ったからです。先ほど迫君も言ってたように、自分から活発的にものを言える人になりたいと思ってました。また、まだ明確な将来の夢は決まってないのですが、起業に少し興味があって、そのためになるかなって思いました。Grassrootsに参加した当初はそこまで起業したいとは思ってなかったんですけど、やっていくうちにだんだん興味が湧いてきました。自分の周りには起業している人はいなくて、皆会社で働いています。社員になるのもいいんですけど、それだとなんか夢が小さい気がして…。社員から社長みたいになれればいいですけど、個人的には自由にやりたいんで起業の方がいいかなって思います。


新:さまざまな挑戦をしてみたいと思い、参加を決めました。学校の授業でできるような話し合いとかではなく、今回みたいに色々な人にインタビューしたりアンケートを取ったりとか、大人と話し合ってみたりとか、そういう何か特別なものをやってみたいって思ったからです。日頃は先生や親以外の大人とはほとんど話したことがなくって、Grassrootsで大人と喋った時はかなり緊張はしたんですけど、ちゃんとこの時期からやっておくことで大人になってから抵抗がなくなると思いました。


実際にGrassrootsに参加して、どんな期待と不安があったのでしょうか?

迫:Grassrootsのミッションが「この世の中に新しいものを生み出す」というものだったのですが、そういう活動は初めてなのでしっかり成功するかは不安でした。期待としては、世の中に新しいものを自ら出してみたいという思いがありました。でも逆にそれが不安でもありました。


荒:Grassrootsの前半では、僕たちすごく頑張ってて結構よくできたかなと思ったんですけど、前半発表では2位にも入れず、あまり上手くいかなかったのかなって思いました。そして後半で案を変えようと話し合った時に、なかなか案が定まらなくて不安になりました。期待としては、タクトピアの人とメンタリング(個別相談会)とかでいろいろ親切にしてもらっていたので、いいものを返さなきゃなという、恩返し的なことが出来ればいいなって思っていました。


新:こうした取り組みに参加しても、自分たちは中学生という身分は変わらないので、本当に社会人の方たちがどこにでもいるような中学生にちゃんと話してくれるのか、そもそも相手にしてくれるのかが不安というか心配でした。実際には、そうした不安がありつつも、企業に問い合わせると本当に連絡が返ってきて、普通に戸惑いました。「本当に来ちゃった!」って感じで。嬉しかったです。


Grassrootsには全26チームで活動をしていましたが、チームGlanzはチームワークの良さが際立っていましたね。どのような経緯でチームを組むことになったのですか?

荒:そもそも僕たちは小学生からの仲なので、迫君と新浜君ならプロジェクトをしっかり取り組めると分かっていました。僕もちゃんと取り組みたかったので、他のメンバーでもよかったんですけど、既に性格が分かっている2人とやりたいと思っていました。


新:チームを組む講義前日に、3人で事前に話して、俺らで組もうよっていう話はしていました。実際に講義内でチームの仲間探しの時間で改めて話し合った時に、まだ僕がコロナ関連のことをしたいということ以外定まってなかったんですが、荒井くんと迫くんがバスとか電車の密着に関することをやりたいと言っていたので、自分のやりたいテーマと2人のやりたいテーマが繋げられると思ったことも決め手になりました。


Grassrootsを改めて振り返って、何が楽しかったですか?

迫:案と案がぶつかった時は、相手の意見を否定している感じで嫌だった時もあったんですけど、逆に皆がそれぐらい本気でやってくれているっていうのが分かった時は楽しいっていうか、嬉しかったです。そうやって、本気で案を色々考えている時が楽しかったです。


荒:タクトピアさんとのメンタリングで自分たちの意見を言った時に、「いいね」って言ってもらえた時とか、タクトピアさんの紹介で会った企業の方と話した時に「チームワークがいいね」とチームのことを褒められるとすごく嬉しかったです。他に楽しかったことは、案が決まって企業の方たちと連絡で来たときと、最終発表で2位になれた時です。


新:僕は企業との連絡ですね。初めて企業の人に電話で問い合わせる時はすごい緊張していて、メモしないと話しの内容が頭に入ってこないぐらいでしたが、回数を重ねるたびに会話が弾むようになり楽しかったです。合計で3~4回ぐらい電話しましたね。


ではGrassrootsを改めて振り返って、何が苦しかったですか?

迫:Grassroots前半から後半に入る際に案を変えた時とか、前半の発表で入賞できなかった時は皆のモチベーションが下がった時期でしたね。企業との連絡や、インタビュー活動が全然うまくいかなかった時があって、自分たちはどうしたらもっとやりがいのあるものができるかなって思ってた時が苦しかったです。そういうモチベーションが下がった時も、めげずにみんなでどうすればいいのかを話し合ったときは、「やっぱりメンバー大事だな。」って思いました。自分1人だけで何がいけなかったかなって考えるより、せっかくチームがいるので話し合って進めることが大事だと思います。僕たちは話し合ったすえ、後半に入った時に今までの案を捨てて一新することにしました。


荒:迫くんと似たような話になるんですけど、案がなかなか決まらない時に、いいなって思うものもよくよく考えたら実現は無理じゃないかというのがあって、すごい気持ちが下がって諦めそうになったんです。そういう時は苦しかったです。結局Grassroots前半で感染予防をテーマに取り組んできたこともあり、やっぱり引き続き後半も感染予防のことにしようっていう意見が出ました。そこから感染予防に関する新しい案を出してはだめで、また他の案を出してはだめでということを繰り返していると、時々いいのが出てくるんですよね。それで、「これでやってみよう。」となった時に、今までの努力が無駄じゃなかったって報われた気持ちになった瞬間、僕は持ち直しました。


新:僕は、企業の方のための文章を作るときが一番苦しかったです。失礼のないようにっていうプレッシャーで苦しかったです。親から慎重にやるよう言われてたこともあり、書いた文章を2重、3重に添削してもらっていました。


Grassrootsを通してどんな変化が自分にあったと思いますか?

新:今まで親が働いているのは当たり前って思っていたんですけど、Grassrootsを通して人と連絡を取ったり、人と仕事をすることがどれだけ大変かっていうのが分かり、社会の厳しさを身をもって知りました。


荒:自分たちの思った通りに行くか分からなかったんですけど、力を合わせれば何とかなるっていうことと、仲間と話しているとこういう案もあるんだなっていう気づきがあったので、人の案を取り入れるのも大事だなって思いました。


迫:自分はよく一人で考えたり、進めるタイプでした。これまで何度か先生から班をまとめるよう頼まれたことがあるんですが、そういう時も、自分一人でいろいろ考えて他の人に役割を振ったりして班の活動をまとめてました。でも今回は内容が難しくて、自分1人では回しきれなくて。全16回中、第5回ぐらいまでは「皆に明日までにこれ考えてきて」「来週はこれやってきて」という話をして、1人でまとめようとしていました。ですが、回を重ねていくごとに自分1人じゃやり切れないことがどんどんどん増えていって、結果、企業の連絡は新浜くんがすごい頑張ってくれたり、荒井くんは案出しとかすごいやってくれて、皆を頼れるときは頼った方がいいと思うようになりました。


ぜひ皆さんの今後の展望を教えて下さい。

迫:メンタリングの時に言ってたことなんですけど、これからの世界は指示待ちでは通用しないと思っていましたが、Grassrootsを通して実際にそうなんだと感じました。ゲストの起業家が来たときも、そういうことを乗り越えてきた人が沢山いるんだなというのを感じたし、この活動を通して自分から積極的に案を出したりして参加しないといけないと思ったので、今後何か活動があるときはできる限り挑戦していきたいです。


荒:僕は起業が夢って言ったんですけど、2人がどう思ってるかはわからないけど、この3人で1回起業してみたいなって思いました。来年も、できればこの3人で新たなプロジェクトに挑戦してみたいなって思いました。


新:今回企業の人とメールや電話を通してやり取りをしたので、社会人になって他の組織の人だったり、目上の人とコミュニケーションを取る際、この経験を活かしてやっていきたいと思います。


改めてGrassrootsのミッションをどのように感じますか。

迫:新しいことに挑戦することはすごく困難でもあり、おもしろいので後につながると思いました。


荒:新しいことだから大変なことがたくさんあるけど、それを乗り越えた時の達成感と、仲間との絆が深まるという事をすごい実感しました。


新:ミッションがすごく難しかったんですけど、企業の人と繋がれた事に関してすごくやりがいを感じました。「僕にもできた。」っていう経験は今後の自信にもつながりました。


学校やタクトピアの存在はどのようなものでしたか。

迫:タクトピアさんも学校も、メンタリングとかで相談させてもらえる一方、時には「自分たちで考えてみよう」という時間もあって、サポート役的な存在でとてもありがたかったです。


新:僕は、企業の方と連絡するときに色々アドバイスを頂いていたので、そういところで社会の礼儀や作法を教えてくれる存在でした。


荒:タクトピアさんはメンタリングで意見をくれたり、学校外に突撃アンケートをしに行った時も、3時間以上ずっと見守ってくれてて、すごい助けてもらったなっていう存在です。


Grassrootsのような探究プログラムを取り入れてみようと思っている、全国の先生に伝えたいメッセージはありますか?

荒:やる生徒もやらない生徒もいると思うんですけど、やる人はちゃんとやるから、そういう人たちのために、こういったプロジェクトをもっと生徒たちに挑戦させてあげてほしいと思いました。


迫:荒井君の発言につけ足して言うと、逆に学校全員の必須にする必要はないと思いました。やってみたいっていう思う人を、参加させてあげるくらいがいいと思いました。


新:僕の学校でもそうなんですけど、こういう探究系のプログラムがいろんな学校で増えてると思います。このGrassrootsは、外部の人と話が出来たり、自分たちはしてないけど専門学校の人と話したりと、いろいろ自由に挑戦できるんで、自由度の高さはこのプログラムの特徴だと思いました。


チームGlanzの皆さん、ありがとうございました!友達から仲間へと進化した絆を大切に、これからもほんの少しの勇気をもって、新しい挑戦に一歩踏み出してほしいと思います。本気でやり切ると、新しい景色が見えるよね!これからの挑戦も応援しています。